宿泊業界(ホテル、旅館、民宿、ゲストハウス、民泊)のトレンドを知ろう!

コーベルジュで宿泊業界にチャレンジするのなら、今の宿泊業界のトレンドを知る事はとても大切です。

 

ここでは、スタイル、価格帯、デザインなど様々な切り口から、今の宿泊業界を見ていきたいと思います。

 

1「二極化」

 

昨今、宿泊施設がどんどん増えているのは、ニュースやネットで皆様もご存じだと思います。

 

そんな中、どのような宿泊施設が増えているのかを見ていきましょう。

 

まず増えてきているのが、ペニンシュラ、アマン、星のやなどの富裕層、インバウンド向けのいわゆる高級施設

 

(出典:ペニンシュラ東京)

 

 

(出典:アマン東京)

 

 

(出典:星のや東京)

 

どこも一生に一度は泊まってみたい、素敵な宿ですね。

2020年の東京オリンピック、そして、政府が掲げているビジットジャパン戦略を見据えて、ホテル不足を解消する動きは今後も活発となるでしょう。

 

 

もう一つの方向性として、Nui.HOSTEL & BAR LOUNGE、LYURO東京などのゲストハウスや、9hナインアワーズ、ファーストキャビンなどのカプセルホテルという、若者、インバウンド向けのプチプラな宿。

 

 

(出典:Nui.HOSTEL & BAR LOUNGE)

 

 

(出典:LYURO東京)

 

(出典:9h)

 

(出典:ファーストキャビン)

 

 

非常にセンスが良く、価格も安い。

 

インバウンドや若者の都市型観光の拠点として、今後も伸びてくるでしょう。

このように、大きく二極化された宿がどんどんできているのが今の宿泊業のトレンドと言えます。


 

2「ホテルと旅館が近づいてきている?」

 

上記でもお伝えした、アマンや星のやなど、新しく都市部に出来ている超高級ホテルでは「和モダン」な雰囲気を多く取り入れている傾向が強くなっています。

 

 

(出典:アマン東京)

 

 

(出典:星のや東京)

 

 

和の柄や格子、和紙などを使い、日本を表現したデザインが超高級ホテルでは採用され始めています。

 

これは、インバウンド富裕層を意識し、折角日本に来たのであれば、その雰囲気を味わってもらおうという「おもてなし」の表れでしょう。

 

 

次は、星野リゾートグループの「界」や奥湯河原の「結唯」などをはじめとした「旅館」を見ると、こちらも、和をモダンにアレンジした雰囲気が今のトレンドとなっています。

 

 

(出典:界)

 

 

(出典:結唯)

 

 

このように並べてみると、段々ホテルと旅館のデザイン差が無くなっているように感じます。

 

実は、雰囲気だけではなく、実際に旅館業法上も2018年6月に「ホテル営業」と「旅館営業」の区別がなくなったのです。

 

今後、ホテルと旅館はどのように変化していくのか注目ですね。


 

3「コンバージョンの宿」

 

コンバージョンという言葉はご存じでしょうか?

 

コンバージョンとは、元々あった建物の用途を変更する事です。

 

最近はこのコンバージョンをした宿というのも増えてきています。

 

【ホテルカンラ京都】

 

 

(出典:ホテルカンラ UDS)

 

 

こちらのホテルは元々教育施設として建てられた建物をホテルにコンバージョン。

 

とても洗練されていて、元教育施設とは全く感じませんね。

 

【鎌倉古今】

 

(出典:Airbnb 鎌倉古今)

 

(出典:鎌倉古今)

 

 

ここは築160年以上の古民家をコンバージョンし、民泊営業を取った宿です。

 

敷地内にはレストランも併設、コンシェルジュまでいる超高級民泊。

他にも学校や倉庫をコンバージョンした宿なんかもあります。

 

改装費が意外と掛かるので、その辺りをクリア出来ると、話題性も含めて、面白い取組みですね。


 

4「民泊ってどうなの?」

 

民泊という言葉、最近よく耳にしますね。

 

2018年6月に民泊新法(住宅宿泊事業法)が施工されました。

 

実際の所、民泊ってどうなの?

 

というご質問をよくいただくので、ここで少し解説したいと思います。

 

 

コーベルジュを開業する為には、「民泊」の届け出か、「簡易宿泊所」としての許認可を取得する必要があります。

 

民泊の場合大きな違いはMAX180日以下の営業しか出来ない。

 

これが一番の大きなポイントです。

 

逆に180日で採算が取れる事業計画であれば、「民泊」の届け出の方が設備も軽くて良い可能性もあります。

 

特にコーベルジュの場合はレストランの売り上げを合わせる事が出来るので、チャンスといえるかも知れません。

 

しかし、民泊の場合、設備が基本的に住宅でなくてはならず、各部屋にキッチンやトイレ、バスルームが必要だったり、賃貸募集をかけている必要があったりと、課題も多いです。

 

民泊の届け出に対する捉え方は、各自治体で違う為、よく条件を確認してから判断する必要があります。

 

民泊の届け出窓口も保健所なので、簡易宿泊所の相談に行くときに合わせて確認すると良いでしょう。


 

5「アルベルゴディフーゾ(まちやど)」

 

(出典:日本まちやど協会 SHIMA inn)

 

アルベルゴ・ディフーゾ(まちやど)とは、

 

空き家 ・ 空き店舗を活用し、観光客を呼び込み、地域を活性化させようして始まった宿泊形態が「アルベルゴ ・ ディフーゾ」。

 

イタリア語で、アルベルゴとはホテル、ディフーゾとは分散 ・ 拡散を意味し、直訳すれば「分散したホテル」となります。

 

一般的なホテルが、1カ所の施設でサービスを提供するのに対し、アルベルゴ・ディフーゾは、地域の複数の建物を利用します。

 

地域の中に受付を設け、そこから一定の範囲内の空き家 ・ 空き部屋、空き店舗等を宿泊部屋やホテルの施設として活用する新しいスタイルです。

 

さらに、この新たな形態のホテルはイタリア国内にとどまらず、世界各地にも広がりを見せています。

 

ここ日本では、「まちやど」という言い方に変え、レストランは街中の居酒屋さんだったり、大浴場は近くの銭湯や温泉。

 

というように町を一つのホテルと見立てたものが、今、日本全国に広がりつつあるんですよ。

 

なんだかワクワクしますね。

 

6「泊食分離について」

 

「泊食分離」という言葉を聞いたことがありますか?

 

 

これは宿泊と食事を分けた、いわゆる素泊まり形態の事を言います。

 

なぜこれがキーワードとして出てくるのか?

 

そこには、稼働率の低い旅館業の現状が見え隠れします。

 

旅館業は1泊2食付きがスタンダード。

 

しかし、旅館業の稼働率がどんどん下がってくるなか、稼働率を上げる為に、食事をなしにする、という動きがこの「泊食分離」という形です。

 

多様化したニーズに応える上で、食事を自由にどこで食べても良いとする事で連泊などが取りやすくなる可能性があるスタイルですね。



7「アート系ホテル」

 

1999年アメリカのシアトルで生まれた「ACE HOTEL」は皆さんご存じでしょうか?

 

 

(出典:ACE HOTEL)

 

 

アート系ホテルの先駆け。

 

古いホテルや建物をリノベーション、コンバージョンし、様々なアーティストとコラボレーションして生まれたホテルです。

 

2019年末には京都に進出予定。

 

 

そのトレンドを踏まえて2008年に出来た日本のアート系ホテルの先駆け「クラスカ」。

 

(出典:クラスカ)

 

 

ここも部屋ごと様々なアーティストとコラボした部屋が楽しめます。

 

 

 

そして、渋谷にオープンした「TRUNK (HOTEL)」

 

(出典:TRUNK(HOTEL))

 

 

大手グループ、マリオットが手掛ける「MOXY HOTEL」は東京と大阪同時オープン。

 

(出典:MOXY HOTEL)

 

このように、ミレニアルズ世代を意識したアート系ホテルも続々と出店され、これも今のトレンドと言えるでしょう。


 

8「ライフスタイル系ホテル」

 

アパレル会社のストライプ・インターナショナルが手掛ける「hotel koe tokyo」が渋谷に登場。

 

(出典:ストライプ・インターナショナル)

 

 

良品計画(MUJI)が手掛ける「MUJI HOTEL」が中国の深圳に開業。2019年には銀座にもオープン。

 

(出典:良品計画)

 

 

今後も、このような企業のイメージや世界観を表現する宿泊施設が都市部では増える可能性があるでしょう。


 

9「宿泊業トレンド未来像」

 

宿泊業のトレンドを様々な切り口からお伝えしてきました。

 

それを踏まえ、この先どのようなトレンドが生まれるかを推測していきたいと思います。

 

(出典:アマネム)

 

 

国内旅行市場は、旅館や民宿などの衰退により激減してしまいました。

 

そこに、新たに高級ホテルや旅館、若者や海外からのバックパッカーに人気のゲストハウスが登場。

 

そして、ホテルと旅館の差が無くなりつつある現状だったり、それとは一線を画す「アート系ホテル」や「ライフスタイル系」ホテルが増加。

 

そして「まちやど」という今までになかった新しい宿泊の形など様々な形態の宿泊施設が生まれている事をお伝えしました。

 

昨今「SNS映え」などの言葉が定着しつつも、段々と「SNS疲れ」や「SNS離れ」といったネガティブな表現も現れ始めました。

 

PR、認知拡大の上では、まだしばらくはこの「SNS」の流れはあると感じますが、単純にSNS映えするだけでは、消費者から見放されてしまう可能性は高くなるのではないでしょうか。

 


では、次にどのような流れが出てくるのか?

 

「マズローの欲求五段階説」というのをご存じでしょうか?

 

(出典:フランチャイズWEBリポート)

 

 

アメリカの心理学者であるマズローが唱えた、人間の欲求を5段階で理論化したものです。

 

SNSでの「いいね!」や「フォロー」は誰かに認められたいという欲求を満たす手段として使われています。

 

上記の表でいう所の「尊厳欲求」の段階です。

 

人は、その段階における欲求を満たす事が出来ると、その次の欲求を満たしたくなります。

 

となると次の段階は「自己実現欲求」を満たしたくなる段階に入ります。

 

ここは基本的に、自分の能力を引き出し創造的活動がしたいなどの欲求が出てくる段階と言われています。

 

尊厳欲求の段階では「素敵な場所に行っている自分」を写真に収め、SNSに投稿し「〇〇さんっておしゃれね」と言ってもらう事で欲求を満たしていました。

 

では、「自己実現欲求」の段階ではどのような場所が求められるのでしょうか?

 

今までの物質的な、デザインの美しさやオシャレだけではなく、

 

「そこに行く事で自分がどうなれるのか?」

 

「自分が自分らしくいる事が出来るか?」

 

という事が求められてきます。

 

それには、宿泊施設の世界観(価値観、コンセプト、ストーリーなど)が明確である事が重要です。

 

そして、その世界観に共感するからこそ、選ばれるようになるのです。

とはいえ、まだまだ、SNS映えも意識する事がトレンドとして続くと考えられます。

 

 

 

如何でしたか?

 

 

私は、今後、高次欲求を満たす事が出来る宿が、世の中に求められてくるという感じがします。

このように、宿泊業はその時の情勢を踏まえながらどんどんと進化をしていきます。

 

その分、大変な事もありますが、世の中のライフスタイルを充実させる、非常に魅力のある業界だと思います。

 

あなたもチャレンジしてみませんか?

 

 

 

  
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